九州サイエンスラボ「かず先生」

液体窒素が家にある「窒息」の恐怖((((;゚Д゚))))

本日、液体窒素を買ってきましたw

普通のお買い物ではないですね(;^_^A

もちろんサイエンスショー用というか、新しいネタを開発するための試験用ですね。

自宅に保管していますが、結構恐いものですw

これは強烈に冷たいから…という話ではありません。

 

液体窒素の容器は大きく分けて2種類あります。

密閉できる高圧ガスボンベと、密閉しないタイプの容器です。

高圧ガスボンベに封入すると、法的にいろいろと制約がありますが、密閉しないタイプは制約がありません。

少量を購入する人(業者)は密閉しないタイプで運搬・保管するのが一般的です。

大きくて、口が完全には閉まらない魔法瓶ですね。

 

液体窒素は約マイナス196℃で、周囲の温度と200℃以上違います。

魔法瓶に入っているとはいえ、液体窒素は常に温められていることになるので、中身は常に沸騰している状態になっています。

液体窒素が気体になると、約700倍に膨張します。

高圧ガスボンベでないもので密閉すると、容器が爆発してしまいますので、

専用容器は気体を逃がす隙間が空いています。

 

つまり、家の中で保管していると、気化した窒素は家に充満するのです。

でも、空気の成分の78%は窒素です。

元々窒素が多いので、大した問題でなさそうな気がしますが、そうではありません。

 

皆さんは「窒息」と聞いて、どういうイメージを持ちますか?

首を絞められる?

袋に顔を突っ込んだり、洞窟に閉じ込められて酸素が少ない状態が長く続く…とか?

実はそれだけではありません。

頻繁に起きる事故で、風船に入ったヘリウムを吸って倒れるというものがあります。

酸素が少ない気体を1発吸っただけでも窒息は起きます。

通常は肺では、吸い込んだ空気と血液中の酸素濃度の差で、酸素を取り込んでいます。

酸素が少ない気体を吸い込むと、逆に血液中の酸素を放出してしまい、極端に酸素濃度が少ない血液ができてしまいます。

これが脳に流れた瞬間、脳の機能が一時停止し、倒れてしまうのです。

ですから、声変わり用のヘリウムガスには、酸素が21%含まれています。

風船用のヘリウムガスには酸素が入っていないため、吸い込んではいけませんよ!

 

つまり、液体窒素の容器から漏れ出た、酸素を含まない窒素ガスは窒息が起きる「殺人ガス」なのです。※毒性があるという意味ではありません。

 

部屋は大きいしの空気と混じるから、そうそう酸素濃度は下がらないから大丈夫じゃないか?

そう思いますか?

状態の異なる気体は、意外と混ざりにくいです。

液体で例えると、ジュースに氷を入れると、上の方だけやたらと薄まるでしょう?

ジュースにも水分が多量に含まれていますが、果汁や糖分が入っていますし、温度が違ったりしますから、すんなりとは混ざってくれないのです。

あれと同じ状態です。

容器から漏れ出た気体の場合は、周囲の気体より冷たく重たいため、床を這って広がります。

密閉された空間で、床に寝ていたらどうでしょう。

酸素の少ない殺人ガスを、気付かない間に吸ってしまう事になります。

 

本当に眠るように永眠してしまいます( ̄▽ ̄;)

 

もちろん、そうならないために常時換気をしています。

車での運搬は特に危ないので、窓を開けなければなりません。

科学の先生は、危険な薬品や火を取り扱う事もあります。

色々と体を張る場面が多いのですよ(;^_^A

投稿者:

かず先生

■サイエンスメッセンジャー(サイエンスコミュニケーター) ■サイエンスタイム株式会社 代表取締役 ■九州・西日本を中心に、全国でサイエンスショー・科学ワークショップなどのイベント出演、テレビ番組やYouTuber動画への出演等行い、身近に隠れた科学からのメッセージを伝える活動を行っている。