特にYouTuberさんや、テレビ番組から、弊社に異常な件数ご依頼のある「象の歯磨き粉(Elephant toothpaste)」という科学実験。
この強化版とも呼べる「悪魔の歯磨き粉(Devil’s toothpaste)」のご依頼も増えました。
YouTuberヒカルさんの動画でも申し上げておりますが、弊社はこれまでのサイエンスショーで象の歯磨き粉を数百回以上行っております。
そのような慣れた弊社でも、悪魔の歯磨き粉についてはお受けが難しいケースがほとんどです(できない訳ではありませんが、条件が合いません)。
多くの場合、ご依頼主様がイメージされている実現方法は、少なくとも日本の法律では違法となる可能性が高く、弊社が提示する環境要件をクリアできない場合はお断りする事となります。
※象の歯磨き粉は、YouTuberのはじめしゃちょーさん、ヒカルさんの動画で出演・監修しております。
そもそも、象の歯磨き粉とは?
ヨウ化カリウム等を触媒とした、過酸化水素の分解実験です。
気体が発生するため、洗剤を同時に混ぜておくと泡がたくさん出現する、見た目がとても面白い実験です。
口が細い容器を用いた場合の泡が溢れる様子は、歯磨き粉がウネウネと出る様子と似ています。
このため「大きな歯磨き粉」という意味から、「Elephant toothpaste」という名前が付きました。
海外発祥の実験です。
知っている限り、私がこの実験を行い始めた頃は、日本で他にやっている方はおらず、日本語名はありませんでした。
YouTubeが流行って有名になり、日本語訳「象の歯磨き粉」として知られるようになりました。
悪魔の歯磨き粉とは?
象の歯磨き粉と全く同じ科学現象です。
ただし、分解速度を極端に早めたもので、泡が瞬間的・爆発的に膨らむよう調整されたものです。
容器の口が広く空いていても、ガラス容器を粉砕してしまうほどの威力があります。
その恐ろしさから、「Devil’s toothpaste = 悪魔の歯磨き粉」という名がつけられ、海外のYouTubeで大ヒットしています。
悪魔の歯磨き粉の法的問題点。
使用する過酸化水素は「劇物」です。
毒劇物法や下水道法に則った使用・運搬・処分が必要な物質です(分解されて過酸化水素の濃度が6%以下に下がれば、劇物指定から外れます)。
生物に影響を与える物質です が、濃度が低ければ比較的穏やかです。
また、触媒として加える「ヨウ化カリウム」は、法律上では毒物でも劇物でもなく「普通物質」です。
小学生が理科で使う「ヨウ素液」にも含まれる、またイソジンうがい薬に似た系統の、比較的安全な物質ですが、特に水生生物に影響を与えます。
容器に付着したものを洗う程度であったり、余ったごく少量の液を多量の水で薄めて流す程度の常識的な量であれば下水に流しても問題ありません。
ところが、YouTube動画で見られるような大量の場合は土壌に染み込ませたり、下水に流すことなく、適切な処理を行わなければなりません。
環境保護の観点から、周辺に撒き散らして良いものではないのです。
海外のYouTube動画上の悪魔の歯磨き粉では、屋外に撒き散らしている状況です。
海外の科学薬品の法律やガイドラインがどのようになっているのか知りませんが、少なくとも日本では同じことを再現することはできません。
悪魔の歯磨き粉を行うには?
どれほど泡が飛散するか分かりません。
屋外では風に乗って飛んで行ったら大変です。
環境に放出してしまうだけでなく、たまたま通りかかった人にかかってしまうかもしれません。
地面も適切に養生しておかなければ、土壌に染み込ませることになります。
屋外なら完全に周辺を囲えること、広範囲に養生できることが必須要件でしょう。
屋内で行う場合も非常に注意が必要です。
薬液を大量に使用した場合は、窓ガラスや出入り口を粉砕するほどの爆風となります。(象の歯磨き粉でも、量を増やせばかなりの風圧を感じます)
また、悪魔の歯磨き粉では、近くにいる実験者の身の安全を図らなければなりません。
廃液は漏らさず集め、産業廃棄物業者に処分を依頼する必要があります。
弊社での対応
悪魔の歯磨き粉が実施できない訳ではございません。
しかし、最初に記載しました通り、法律に則った上で、安全に実施できる環境が整わなければお受けできません。
「海外動画そのままを再現したい」という場合はお断りしています。