イベントでマイクチェック、ワン、ツー?

イベントの準備中。

音響を調整している人(PAさんと呼びます)が、

「マイクチェック、ワン、ツー」とか言っているのを聞いたことがありますか?

初めて聞くと、かなりウケます( ´艸`)

特に「ツー」が、「ツー⤵」と、音程を高い所から下げるように言っていたり、「へーい」とか独特な感じで言っているのを素人さんが聞くと、爆笑されることがあります。

 

私が出演したイベントの準備中、別のプロの出演者の方が、同じようにマイクチェックをしていたことがありました。

PAさんはいないイベントだったので、自分で音響チェックをしていました。

しきりに、マイクチェック・ワン・ツーと言っているのですが、特に何も操作していない…。

時々「ツー」ばかりを言ったり、プロっぽくやっているけど、やっぱり操作はしていない…。

ちょっとだけ音量を弄ってはいましたが…。

あらぁ~( ̄▽ ̄;)

プロなのに意味が分からずにやってるんだなぁ…と、同じプロとして恥ずかしくなりました(;^_^A

 

実はかず先生は昔、音楽をやっていましたので、音響に詳しいです。

ですから、九州サイエンスラボは音響機材も一式常備しています。

これは弊社の出張イベントサービスの強みです。

サイエンスショーや実験教室と共に、イベントセット丸一式がやって来ると思ってください。

(簡易セットなので、大きなイベントや野外イベントは音響屋さんを入れてくださいね!弊社の機材で対応可能なのは小学校体育館程度までです)

で、私も準備中にマイクチェック・ワン・ツーを言います。

でも、ちゃんと「イコライザー」などを操作しながらです。

 

これは何をやっているのかというと、スピーカーの元々の癖や、会場の反響などでできる癖を取っているのです。

例えばシャンシャンと高音が強くて頭痛がしそうなイヤホンとか、重低音がウリのイヤホンとか、特徴がありますよね?

それと同じです。

大まかに説明すると、高音・中音・低音などの音量にバラつきがあるのです。

高音が大きいまま、単純に音量を上げると、「キーン」という甲高い音が発生します。

これを「ハウリング」と言って、ハウリングを起こすことをよく「ハウる」と言います。

スピーカーから出た音をマイクが拾い、その音がスピーカーから出て、またマイクに拾われ…と、無限ループを起こすことで発生します。

この場合、イコライザーで高音の音量だけを下げてあげるとハウリングが止まります。

低い音が強いと、「ブォーン」と低いハウリング音が起きます。

で、イコライザーの低音を下げてあげるのです。

これを繰り返して、高音から低音までの音量を平坦にし、全体を必要な音量まで上げていく作業をしているのです。

(”低音を強めに”みたいな味付けをすることはあります)

「ワン」という発音はこもった音なので、中音や低音が出やすく、「ツー」では息が漏れる音が混じっているので高音が出ます。

ツーの音を下げて行ったり、「へーい」という発音を色々な音程で発することで、

ハウリングを起こし気味になっている周波数を探すのです。

時に舌打ちなどで、声では再現できない周波数や強い音でチェックします。

 

素人さんはマイクがONになっているかを確認するのに、ボンボンと叩いてみますが、

マイクを痛めますので、PAさんは全体にそんなことはしません。

「只今マイクのテスト中」ではなく「チェック・ワン・ツー」と言うと、プロっぽくなりますw

イベントの準備中の場面に遭遇したら、PAさんの面白いチェック方法に注目してみてくださいね。

投稿者:

かず先生

■サイエンスメッセンジャー(サイエンスコミュニケーター) ■サイエンスタイム株式会社 代表取締役 ■九州・西日本を中心に、全国でサイエンスショー・科学ワークショップなどのイベント出演、テレビ番組やYouTuber動画への出演等行い、身近に隠れた科学からのメッセージを伝える活動を行っている。